人材開発担当者が研修ベンダーを変えない理由

なぜ研修ベンダーを変えないのか
「いまの研修内容に満足されていますか?」と質問すると多くの人材開発担当者は首をかしげます。
それなのに、研修会社を変えようとしません。なぜでしょうか…
人事担当役員が懇意にしている
人材開発の担当者は研修ベンダーのコンテンツに満足していなくても、前任者から引き継いだか使っているという免罪符を失いたくないのです。自分の代で研修会社を変えて、よくなかった時のリスクを取りたくないのでしょう。
研修の批判は自分に返ってくる
担当者は研修コンテンツの不満を口にすると、その責任はすべて自分に返ってきます。だから上司には悪い報告をしません。例年通り実行しましたと報告したいのです。

アンケートは前向きな言葉が多い
よほど酷い講師、プログラム出ない限り受講者はアンケートに罵詈雑言は書きません。人事部門が主導している企画ということもあり評価に影響することを恐れます。結果、そこから学んだことを整理して記載しがちです。
前年受けた指導との乖離を避けたい
例えば新入社員研修でベンダーや講師を変えると、着任後に現場メンターとなるべき先輩が学んだことと乖離するのは避けたいという意見もあります。

スイッチングコストが高い
長期的な取引のある研修ベンダーを変更するとスイッチングコストがかかります。特に情報共有もいちからなので慣れたベンダーであれば説明不要のことまで時間をとることになります。
前任踏襲の免罪符
過去にその研修ベンダーと取引をスタートさせた担当者が、現在の人事担当役員だったりします。さらにベンダーの社長と懇意にしているケースがあり、現担当者としては内容に不満があっても切りにくい状況になっています。
企画担当者と受講者の利害関係が一致
上記の感情の結果、くしくもその空間にいた研修企画担当者と受講者の気持ちがシンクロしてしまい、悪い研修も翌年以降も実施される傾向にあります。さらに言えば研修ベンダーとも利害が一致しているのです。
人材開発は経営の根幹をなす事案
人材開発は経営戦略そのものです。人材の成長こそが強い組織を創るための基盤となります。ですから研修ベンダーとの取引は真摯に取り組まなくてはいけません。いまの研修ベンダーへの外注が正しいのか、そもそも外注すべきか、内製化すべきかあらためて検討すべきでしょう。
例えば、上記の例で言えば、新入社員研修から内製化すべきです。2、3年目社員でプロジェクトを組んで設計させれば自社に最適のプログラムをつくるでしょう。 もちろん先輩とプログラムが乖離することも問題はなくなります。